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相続税の節税に逆風が吹く? 令和5年度税制改正大綱から相続税・贈与税の改正ポイントを読み解く

2023.02.28

近年相続税にかかる部分、特に贈与税が大きく改正されると言われ続けてきました。令和4年12月16日、令和5年度税制改正大綱が公表され、その中で相続税・贈与税に係る改正が明らかとなりました。今回は、贈与税に係るものを中心に解説します。

■暦年課税制度について

暦年課税制度とは、受贈者が1年間に受ける贈与財産のうち、110万円以下の部分は贈与税が非課税となる制度です。ただし、相続の開始前3年以内に贈与者である被相続人から本制度を使って贈与されていた財産は、贈与税が非課税となった部分も含めて全て相続税の課税対象となります。いわゆる「贈与財産の3年持ち戻し」と呼ばれるものです。
この持ち戻しの対象となる期間が、今回の改正により3年から7年へ延長されます。その分、相続税の課税対象となる財産が増えることとなり、その結果相続税は増税になります。ただし持ち戻しに際して、相続の開始前4~7年以内の財産については、100万円を控除することができます。この控除は毎年100万円ではなく、4年間で最大100万円の控除です。

 ■改正の適用時期について

上記の改正は、令和6年1月1日以降に贈与により取得した財産から適用されます。つまり、実際にこの改正の影響を受けるのは、令和9年1月1日以降の相続開始分からで、生前の加算期間はそこから段階的に延びていくこととなります。
具体例を見ていくと、
①令和8年12月31日に相続開始
→ 令和5年12月31日以降の暦年贈与財産が持ち戻し(直前3年分)
②令和12年1月1日に相続開始
→ 令和6年1月1日以降の暦年贈与財産が持ち戻し(直前6年分)
③令和14年1月1日に相続開始
→ 令和7年1月1日以降の暦年贈与財産が持ち戻し(直前7年分)

なお、贈与財産が持ち戻しになる対象者は、被相続人から「相続又は遺贈により財産を取得した者」です。したがって、通常法定相続人でない「子の配偶者」や「孫」等が受けていた生前の贈与財産は持ち戻しの対象とはなりません。この点は改正がなかったため、今後も「子の配偶者」や「孫」等への生前贈与は、相続税の節税対策として十分効果が発揮できると言えます。ただし、生命保険を受け取ったり、遺言により遺産の一部を取得した「子の配偶者」や「孫」等は持ち戻しの対象者になります。遺言書を作る場合など、十分に注意が必要です。

■相続時精算課税制度について

原則として60歳以上の父母や祖父母等から18歳以上の子や孫が受ける際には、暦年課税制度ではなく相続時精算課税制度を選択する事ができます。この制度を選択すると、その贈与者から贈与を受ける財産については、それ以降は全て相続時精算課税制度が適用され、二度と暦年課税制度は使えなくなります。本制度の適用を受けて贈与された財産の累計が2,500万円に達するまでは贈与税が非課税になり、それを超えた部分も一律20%の課税で済みます。
ただし、当該贈与者の相続開始時に、本制度を受けて贈与されていた財産は、相続開始の何年前の贈与に関わらず、全額が相続税の課税対象財産として持ち戻しされます。このことから「相続時精算課税制度は原則課税の繰り延べであり、節税には直接繋がらない」と言われてきました。

■改正点と改正時期について

今回の改正で、「節税に繋がらない」点が改正されます。現在の相続時精算課税制度の基礎控除額・2,500万円とは別に、毎年贈与税の課税価格から110万円を控除することができるようになります。110万円以下の部分は、贈与税の申告自体も不要です。ただし選択届出書の提出は必要となります。
これは暦年課税制度の非課税枠とは別物ですが、実質的には同じものと言えるでしょう。しかも、将来相続税の課税対象財産として持ち戻されるのは、毎年110万円を控除した後の残額の合計です。仮に改正後の相続時精算課税制度を使って毎年110万円を7年間贈与した場合、7年間の贈与財産の合計770万円は相続時に持ち戻されません。
この改正は、令和6年1月1日以降に贈与により取得する財産に係る相続税または贈与税について対象となります。

例年どおりであれば、税制改正大綱の内容は、ほぼそのまま春の通常国会で成立します。今回もこの内容どおり成立すると考えれば、それに合わせた対策を考えてなければなりません。改正前(今年)は、「最適な贈与額を考え暦年贈与しておく」、改正後(令和6年1月1日以降)は、「暦年課税制度か相続時精算課税制度かを慎重に判断し実行する」。いずれにしても早い段階で取り組んでいく必要があるでしょう。

 

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芳野 裕志
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芳野 裕志

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