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【今年の土地・建物税制の変更点は?】 ~不動産オーナー様への影響と対策~

2026.05.07

今年の土地・建物税制の変更点は?

今回は、令和8年度税制改正大綱から読み解く、不動産オーナー様への影響と対策についてお話しさせていただきます。

■令和8年度税制改正大綱の主な改正

 2025年12月19日に「令和8年度税制改正大綱」が発表されました。その中の資産課税に関する内容について、不動産オーナー様の資産を守るための従来の手法に、大きく制限が加えられました。それは、不動産等の評価方法の変更です。今までは現在の評価方法が不動産オーナー様の資産を守ってきましたが、今後資産を守っていくためには、その改正内容に基づいた対策を取っていくことが重要となります。

※本記事に関する注意点:「大綱」はあくまでも「改正案」(2026年3月現在)であり、今後の国会審議において変更追加の可能性があります。

 

 ■賃貸不動産に導入される評価方法の変更①

「5年ルール」の導入

 相続を見据えた時の相続税・贈与税の節税対策の基本は、「資産で持っている現金を不動産に替える」という事でした。例えば現金2億円を持っている方が、その現金で賃貸不動産を購入する、あるいは新築します。この場合の不動産の相続税・贈与税の評価は、土地は路線価評価、建物は固定資産税評価であり、賃貸不動産であればそこから借地権・借家権などの評価減が利用でき、それによって、その貸付用不動産(アパート・マンション等)の評価はおよそ8,000万円程度に下がり、1億2,000万円程度の資産の圧縮効果がありました。

この評価の圧縮効果を使って、相続開始間際でも、被相続人が賃貸不動産を購入するケースが多く見られます。

 しかし、今回の改正でこの手法に制限が設けられました。「被相続人が、相続開始前5年以内に取得または新築した貸付用不動産(アパート・マンション等)は、原則として『通常の取引価格(時価)』で評価する」との改正案が出されたのです。これは相続時だけでなく、贈与の場合も同様に適用されます。

上記の場合で言うと、2億円で購入した賃貸不動産の購入時期が3年前であれば、新しい「5年ルール」の適用後は購入から5年経過していないので、その不動産は購入価格に近い水準で評価されます。(※実務上では、取得価額を基に地価の変動等を考慮して算出した価額の80%に相当する金額によって評価)

つまり、従来1億2,000万円程度の圧縮効果があったものが、4,000万円程度の圧縮効果しかなくなるということです。直前対策として行っても、節税効果はほとんど期待できなくなります。

 

■賃貸不動産に導入される評価の変更② 

不動産小口化商品の評価の変更

今回の評価方法の変更で大きく影響を受けるのが、貸付用不動産を投資商品として小口化した「不動産小口化商品」です。節税対策だけでなく、分割対策や納税資金対策にも大きな効果を発揮してきました。

不動産小口化商品も現物不動産と同様の評価減があります。しかし今回の大綱では、「取得の時期にかかわらず、通常の取引価格(時価)で評価する」と明記されました。現物不動産では「5年以内」でしたが、不動産小口化商品は「取得の時期に関わらず」となっています。

つまり今後購入する不動産小口化商品だけでなく、今既に所有されている不動産小口化商品も対象となります。新ルール適用後に相続や贈与が発生すれば、その評価額は全て課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価されます。

運用は「令和9年1月1日」となっており、それ以降に発生した相続、贈与が対象です。

相続時や贈与時にこれまで受けることができた「評価額と時価との差」による節税メリットは、大幅に縮小される可能性が高くなります。

それとともに、節税メリットが縮小された「不動産小口化商品」は、売りたくても買い手が付きにくい状況になることも考えられます。今のうちに現物不動産や生命保険への資産の組み替えを検討することも大切です。

 

■令和8年度税制改正大綱についての不明点

現時点(2026年3月)では、大綱に不明点が多くあります。例えば、次のような項目がどうなるのか明確になっていないため、注視していく必要があります。

①地価の変動を考慮した価格の80%の根拠は。

②貸付用不動産に駐車場などの土地も含まれるか。

③小規模宅地等の特例は受けられるのか。

④通達の公表日はいつになるのか。 等々

 

■今回の改正「5年ルール」への対策

今回の改正で「相続間近から対策を始める」という従来の直前対策は難しくなります。今後は、もっと早い段階で、計画的に長期保有や資産の組み替えを考えていかなければなりません。「早期取得・長期保有」が原則ではあります。とはいえ、他の対策がない訳ではありません。

その一つとして、令和8年度中の「駆け込み贈与」を使って評価額を固定するという方法があります。改正の新ルール(時価評価)が適用されるのは、「令和9年1月1日以後の相続や贈与」からです。したがって令和8年12月31日までの贈与については、現在の「低い評価額(路線価)」が適用できる可能性が高いです。相続時精算課税贈与制度を活用して、低い評価額で評価を固定しておき、将来の時価評価で評価額が上がるのを防ぐこともできます。

 いずれにしても相続対策のスタートラインは、「現状把握」です。現在の資産内容を正確に把握し、その評価額を明確にすることで今後の対策が見えてきます。弊社でも皆様の「現状把握」を専門家とともにお手伝いしておりますのでいつでもご遠慮なくご相談ください。

 

日本エイジェントでは、毎月テーマに合わせた「相続対策セミナー」を開催しています。「相続」と聞くと、まだ早いと思われている方も、資産管理・資産承継という観点から「相続」について考えていきませんか?

皆様のご参加、お待ちしております。

 

 

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